日英両国を動かす力 日英両国を動かす力 グレイトブリテン・ササカワ財団は幅広い分野にわたって行われる日英両国間の交流事業に対して助成支援を行っています。当財団が支援する主な分野は:芸術・文化、人物・社会交流、日本語教育・日本研究、医学、科学・技術・環境、スポーツ、青少年交流などです。当財団がこれまでに助成支援した全ての事業については、当財団の年次報告書に一覧が掲載されています。 スプッツ二子氏によるインスタレーション、‘Tranceflora’を2016年5月27日(金)にV&A ネオ・ニポニカにて展示 ©ヴィクトリア&アルバート美術館、ロンドン スプッツニ子氏によるインスタレーション、‘Tranceflora’は、伝統的な職人技と先進技術を融合させた魅惑的な作品となりました。インスタレーションに使われた西陣織のドレスは農業生物資源研究所が開発したクラゲやサンゴの遺伝子が導入された蛍光シルクを使って、京都の300年以上の歴史を持つ株式会社細尾によって制作されました。また、ドレスは日本人デザイナー、串野真也氏によってデザインされました。この作品は当財団の支援を受けてヴィクトリア&アルバート美術館にて開催されたイベントで展示されました。 デヴォン、ボベイ・トレーシーにて開催されたナリッシュ・フェスティバルにてカゲムシャ太鼓公演 (撮影:Bim) 当財団は英国内で開催される日本文化を紹介するイベントや団体をたくさん支援してきました。この様なイベントでは普段はあまり日本とあまり馴染みのない地域の方々に日本を紹介する良い機会と考えています。ボベイ・トレーシーでは日本食や日本工芸、音楽に焦点を当てたナリッシュ・フェスティバルが開催されました。その他にも日本の陶器を紹介する展示会や尺八伴奏のついた文楽公演も行われました。 日英サイエンス・ワークショップにて最終プレゼンテーションをする学生達 (撮影:Clifton Scientific Trust) 英国のクリフトン・サイエンティフィック・トラストは2001年より日英サイエンス・ワークショップを毎年開催しており、当財団はこのプロジェクトを初年度から継続的に支援してきました。ワークショップでは英国と日本の高校生が毎年お互いの国を訪問し、ケンブリッジ大学や日本の様々な大学で最先端の科学に関する幾つかのテーマについて共同で学び、実験、実習、討論などを通じて得られた成果を多くの招待者の前で発表します。ワークショップに参加した学生達は最先端の科学とその応用について学ぶだけでなく、異文化交流を行いながら、自分たち自身で課題を設定、共同して研究するなど、普通の高校生活では考えることのできないほどの貴重な実践的学びの体験を得ることができます。 ロンドンバブル・シアター主催の演劇「ヒロシマの孫たち」にて、人形を操りながら原爆被害者の物語を伝える演者達 (撮影: Thea Villasenor) 広島に原爆が投下されてから70年目の年となる2015年、当財団の助成を受けて、ロンドンバブル・シアター・カンパニーではオーラル・ヒストリーと演劇を融合させたプロジェクト「ヒロシマの孫たち」を開催しました。被爆者の方々に広島の子供たちがインタビューしたものをもとに、8歳から80歳の様々な世代が一緒に芝居を作り、上演しました。英国での上演後は広島でも公演されました。 国立環境研究所、東京大学、そして早稲田大学と共同で山口県の豊浦層群にてジェラ紀の泥岩採取及び研究を実施 (撮影:David Kemp博士) 当財団の助成を受けて、アバディーン大学地球科学部と日本の国立環境研究所は共同でジュラ紀の化石サンプルを採取するため、山口県を訪問しました。これらの化石を分析し、ジュラ紀に起こった突然の気温変動の原因や規模、そして期間などの究明に役立つと考えられます。両研究所は今後も他の地域での化石採取を行い、引き続き共同研究を続けていく予定です。 スウォンジー大学と筑波大学によるラグビーのゴールキックを検証 (撮影:Neil Bezodis博士) 当財団からの助成を受けて、スウォンジー大学工学部のチームは3Dモーション・キャプチャー技術を使ったラグビーのゴールキックの研究を筑波大学と共に行いました。日本の大学でラグビーを技術的・科学的に分析したのは初めての試みとなり、国際ラグビー協会やスポーツの生物力学を研究する国際的研究者の多くが関心を示しています。このプロジェクトは英国と日本の新しい研究協力関係を発展させただけでなく、2019年のラグビー・ワールドカップの開催国となる日本にて徐々に人気が高まっているこのスポーツに科学技術を適用することで、新しい楽しみ方を提供することができした。